コラム

老後資金として必要な額はいくら?老後の生活費にかかる資金の目安

人生100年時代といわれる今、子育てや家事に追われる中にあっても「将来の老後資金を準備しておきたい」と考える人は多いのではないでしょうか。とはいえ、老後の生活に必要な金額となると、具体的な数字までは把握しづらいものです。今回は、老後の生活にかかる費用の目安や、必要額を算出するための方法を紹介します。金額が分かり目標が明確になれば、その目標を目指して準備することができるでしょう。老後資金について理解し、漠然とした不安を解消していきましょう。

老後が不安!貯金だけで生活できる?

「老後資金を早めに準備したい!」と考える事ありますよね、そもそも老後が不安に感じるのはなぜなのでしょうか。漠然とした不安に対応するのは難しいため、不安の正体を見極めてみませんか。

老後に不安を感じる理由

老後を迎えるにあたり、一般的に感じる不安要素として以下のようなものが挙げられます。

  • 収入が途絶える、もしくは減少することへの不安
    現在、会社員として働いている場合、定年退職によりそれまでのような安定した収入がなくなります。また、自営業者は高齢を理由とした業務の減少や廃業が考えられるでしょう。それまで生活を支えてきた収入が途絶える、もしくは減少することは大きな不安要素となります。
  • 年金制度への不安

2000年の法律改正で老齢厚生年金の支給開始は、それまでの60歳から65歳に引き上げられています。また、今後さらなる受給開始年齢の引き上げを懸念する声もあり、不安を感じさせます。

さらに65歳以降になると公的年金を受け取ることができますが、年金での収入より支出が上回るケースが多く見られることも不安要素のひとつです。

  • 貯金がなくなるかもしれない、という不安
    安定した収入や十分な年金の支給がない場合、貯金を切り崩して生活していくことになってしまいます。そのため、貯金がなくなってしまうのではないかという不安はつきものです。加えて介護や病気などにより想定外の支出が生じる可能性も不安要素となります。

上記のように老後の不安材料は多いものですが、今はまだ安定した収入があり、生活ができている状態でしょう。すぐに老後がやってくるわけではありませんので、老後資金を事前にコツコツ備えることが重要です。目標を明確にして少しずつ準備をしていきましょう。

「老後資金は2000万円」が必要ってほんと?

テレビやネットで「老後資金は2000万円必要」といったニュースを目にした人も多いかもしれません。いわゆる「老後資金2,000万円問題」と呼ばれるもので、提示された2000万円という金額は「金融審議会市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」 を基に計算されました。具体的には以下のような条件下での計算式になります。

  1. 高齢夫婦(無職世帯)の平均的な毎月の赤字額……約5万円
  2. 毎月5万円の不足が20年間続くと総額で1,200万円、30年では約2,000万円(※)

※5万円×12カ月×20年=1,200万円

※5万円×12カ月×30年=1,800万円

確かに大きな金額ですが、上記はあくまで「統計上の不足額」です。実際のところ、毎月の不足額は、世帯ごとの収入と支出によって異なり、赤字が続けば多くの人が節約して調整しようと考えるものです。

「毎月の不足額が5万円なら2,000万円近く必要な計算なのね」と、参考程度に捉えておきましょう。

老後資金をシミュレーションしてみよう

では、実際に自身の老後資金には、どの程度が必要になるのでしょうか。1つの目安として自身の老後資金を簡易的にシミュレーションしてみましょう。

支出と収入の差額で必要な老後資金の金額の目安が見える

まずは3つのステップで老後資金の目安を算出しましょう。

ステップ1:基本生活費(支出)を確認する

まずは、基本生活費の額を確認します。基本生活費とは食費・光熱費・住宅費など、生活するうえで必ずかかる費用のことです。通常、老後の支出は現役世代よりも2~3割下がるとされているので、やや少なめに見積もります。

ステップ2:老後収入を確認する

老後収入の大きな柱は何といっても公的年金です。50歳以上なら年金定期便で見込み額が確認できます。50歳未満の人は、一般的な年金金額を参考にして毎月の収入額の目算を立ててみましょう。

【令和2年の年金額】

  • 国民年金(老齢基礎年金)満額:65,141円
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):220,724円

ステップ3:支出と収入を計算する

支出と収入を出したら、その差額を計算します。計算例は以下の通りです。

【条件】

  • 支出…25万円
  • 収入…22万円
  • 支出と収入の差額…月3万円(年額36万円の赤字)

【上記条件の場合の必要金額】

年数15年20年25年
必要金額540万円720万円900万円

上記はあくまでも日常にかかる老後資金の目安です。

「元気なうちは家族で旅行やドライブを楽しみたい」「夫婦の共通の趣味は長く継続したい」といった希望もあるはずです。叶えたい希望の予算も上乗せしておくと、理想の老後生活に近づきます。必要金額が膨らんでしまった場合は、希望する項目に優先順位をつけて調整しましょう。老後生活の充実のためにも、早い段階から夫婦で老後の過ごし方について話し合っておくと良いでしょう。

老後資金の不安要素とその対策

支出と収入の差額から老後資金を算出する方法を紹介しました。しかし、不安要素は生活費以外にかかる費用かもしれません。不安要素になりやすい項目と対策についても考えてみましょう。

  1. 無年金期間の確認
    仕事を退職した後、公的年金を受給できるまでに期間が空く場合、その期間を「無年金期間」と呼びます。無年金期間が発生する世帯は、該当期間中の資金を準備するか再就職を視野に入れて対策します。
  2. 病気や介護への対応
    病気や介護の不安は大きいかもしれませんが、まずは支出を抑えるために、公的医療制度、介護制度を最大限活用することを考えます。いざという時すぐに公的支援を受けられるよう、日頃から制度の概要を理解しておくと安心です。

先が見えにくい「介護リスク」が気になる場合は、緊急費用を見積もっておいてもといいでしょう。公益財団法人生命保険文化センターが行った調査によると、平均的な介護の期間は4年7カ月、月平均の支出額は7.8万円。期間中にかかる総額はおよそ429万円です。さらに一時的にかかった費用の平均69万円を足すと、500万円程度が介護にかかる平均額となります。余裕をもって老後資金を準備しておくほか、民間保険に加入する方法もあります。健康は大きな財産と考え、若いうちから健康診断や運動を心がけることも、老後資金への備えといえるかもしれません。

老後資金をシミュレーションして必要金額が思った以上に大きかったとしても、早めに対策をすれば目標額に近づきます。焦らず準備していくことが大切です。

老後資金を作る3つの方法

老後資金を作る方法のひとつに、お金に働いてもらう「資産運用」があります。資産運用には多くの手法がありますが、ローリスクで初心者向けの運用方法を3つ紹介します。

手法1:つみたてNISA

NISAとは、非課税口座で資産運用を行うもので、いくつか種類があります。老後を見越した長期運用を考える場合、積み立て式で投資信託に投資する「つみたてNISA」がおすすめです。運用益が非課税になる「非課税枠」は年間投資額40万円までですが、積み立て式のため家計の余裕に応じて投資額を決められます。また、数ある投資信託のうち手数料が低い商品のみが対象になっています。

手法2:iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は自分で運用、資産形成する年金制度です。会社員、公務員、専業主婦など職業を問わず、原則としてすべての国民が加入できる年金制度になっています。60歳まで所定の掛け金を拠出し、60歳以降に年金として給付金を受け取ることが可能です。運用リスクは自身で引き受けますが、運用益が非課税になるので、通常の資産運用よりは資産を増やしやすいのが特徴です。

また、受取時のメリットもあります。通常、運用益も収入として所得税が課されますが、iDeCoの場合、年金形式で受け取れば「公的年金控除」が、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」を受けることができます。

※勤め先で企業型確定拠出年金に加入している場合は加入できないことがあります

手法3:終身保険

生命保険の一種ですが、貯蓄性も備えているのが終身保険です。保険料の払い込みが終了する頃には、解約時に受け取れる「解約返戻金」が払込保険料の額を超えるのが一般的です。解約は任意で行えるため、資金が必要な時は解約して自己資金を得たり、解約が不要ならそのまま生命保険として保有したりと選択が可能です。

紹介した3つの手法は、基本的に毎月掛け金や保険料をコツコツ支出してくタイプの資産運用のため、初期費用は不要です。資産運用としては比較的少額から始められるため、いますぐ老後資金の準備に取り掛かれます。どのような方法が良いかは家族で話し合い、納得できる内容で老後資金を準備しましょう。

ライフプランを立てて賢く生活していこう

将来のために老後資金を準備していくことは大切ですが、「現在のため」にお金を使っていく視点も大切です。貯金や資産運用ばかりでは生活に潤いが減ってしまいます。毎日の生活を楽しくするためにメリハリをつけてお金を管理していきましょう。

賢くお金を使っていくには、ライフプランを考えるのがおすすめです。ライフプランを簡単にまとめると「長期的な視野で人生を考えること」といえます。「生涯生活設計」とも呼ばれ、通常の人生設計と異なるのは資金面の視点を強く持つことです。夫婦や世帯の人生を20年や30年など長期的なスパンで「いつ」「どのような支出が」「いくら」あるのか見据えることで、効率的にお金が使えるようになるでしょう。

ライフプランを考えるとなると、一見、難しそうに思いがちですが、今後の大きな支出を把握し、金額が不足しそうなポイントを知ることだと考えてみましょう。支出が大きい時期が分かれば、調整することも可能なはずです。

子育て世帯であれば、大きな支出として代表的なのが子供の教育費やマイホーム、ファミリーカーの購入費用などでしょう。例えば、「教育費がかからない幼児期にお金を貯めて、小学校就学の時期にマイホームを購入する」「車の買い替え時期が教育費のピークと被るので、新車を購入するのではなくカーリースを利用する」などして上手く資金繰りを行ってみてはいかがでしょうか。

ライフプランについて詳しくは「ライフプランがあれば人生がもっと楽しくなる!シミュレーションを自分で作成&活用する方法」をご覧ください

老後資金は将来を見越してコツコツ準備しよう

老後資金がいくら必要なのかは、家庭によって異なります。本稿で紹介した方法で老後資金をシミュレーションした結果、「思っていたよりも必要な資金が大きかった」という人もいるかもしれません。目標額が遠かったとしても、早い段階でわかれば「長期的な資産運用でお金を増やす」「大きな支出の資金繰りを工夫する」などの対策ができるはずです。夫婦で協力して豊かな老後生活を目指しましょう。


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