Case.2

私と家族に、笑顔をくれました

美奈子43歳、地方在住の専業主婦。
人生を見つめ直した先にあった、カーリースという選択。

車を買うことで、
何かに縛られたくはない。

「何か、真央子さんの話を聞いていたら涙が出てきちゃったぁ……」

ハンカチで目頭を押さえながら、三穂ちゃんが言った。

「そんな泣かないでよー。両親と離れて暮らしている人にとっては、よくある話だと思うよ」

三穂ちゃんをたしなめている横で、香織さんが呟いた。

「ご両親のこともそうだけど、美奈ちゃんも地元に戻っちゃうんでしょ……それを考えると寂しい」

珍しく香織さんもしんみりした様子だ。

「あっ、でも、ほら。いつかはの話だし、将来どうなるかなんて誰にもわからないことでしょ。ねぇ!」

「……」

私がおどけて言っても、場の雰囲気は暗い。ここは話題を変えるしかない。

「でっ、でもさ、カーリースっていいでしょう。家とか車とかの大きな買い物って、結局その物にしばられちゃうっていうか、人生や生活をそれ中心に考えないといけないじゃない? だからカーリースにして身軽になったっていうか、必要なくなったら手放せばいいじゃんって考えになったんだよね」

すると、香織さんが顔を上げた。

「……うん。私ね、美奈ちゃんの話を聞いて思ったんだけど、購入した車を持ち家に例えるなら、カーリースは賃貸なんだって考えるとわかりやすいなって。持ち家は修繕費や固定資産税もかかるでしょ。でも賃貸なら基本的には月々の家賃だけでいいじゃない? お金の管理のしやすさも似ているよね」

「確かに! 家を買うのには頭金が必要だけど、最近の賃貸は敷礼ゼロのところもあるし、初期費用が抑えられる点もカーリースと同じだわ。香織さんすごいね!」

私は思わず拍手をしてしまった。

「あれ? 何してるの、三穂ちゃん?」

横を見ると、三穂ちゃんがうつむきながらスマホを一心不乱にいじっていた。

「あ、ごめん。気になる車があったから、今カーリースのサイトで見積もりをチェックしていたの……」

「ねぇ、何かいろいろ早すぎない?」

香織さんの鋭いツッコミに、私たちは再びドッと笑った。

しなやかに未来を見据えたい。
だから、私はカーリース。

「わ!パパずるい。普通そこでキノコ使う?」

「あっ! 谷に落ちたー。もう10位になっちゃった」

リビングルームに、にぎやかな家族の声が響く。

最近、我が家ではカートレースゲームが流行っている。最下位の人は、最後にお風呂に入り、掃除をして上がらなければならないという罰が科せられているので、みんな必死なのだ。

「あー。俺も早く自分の車を運転したいなぁ」

現在トップを走っている小学5年生の航平が言った。

「あんたより、私の方が先だからね。あと5年後だもん。そのときはお母さんの車は私のものだからねー」

莉菜が航平の頭を突いた。中学生になっても相変わらず子どもっぽい。

「いいもん、お母さんの車ダサいし。もっとカッコいいやつに変えてよ」

「バーカ! この前新しいやつに変えたばっかりでしょ。車ってお金がかかるんだから、ポンポン買えるわけないじゃん!」

そんな子どもたちの言い合いを聞いて、私は吹き出すのを必死にこらえていた。

「それじゃあ、また何年かしたら乗り換えないといけないね。パパ」

「ようし、必死で働かないとなぁ!」

私と浩二は見つめ合って笑った。