Case.2

私と家族に、笑顔をくれました

美奈子43歳、地方在住の専業主婦。
人生を見つめ直した先にあった、カーリースという選択。

車選びは、人生のビジョンを
考えることでもある。

久しぶりの姉妹だけの時間は、あっという間に過ぎていった。

駅の駐車場に車を停めると、真央子は新幹線の時間を確認していた。

「ねぇ、真央子。私も先のことはどうなるかわからない。だけど、お父さんやお母さんにもしものことがあったら、今度は一緒にがんばろう」

「お姉ちゃん……?」

「ほら、いつ旦那が転勤になるかもわからないし、転職だってするかもしれないじゃない。それにあの 人、実家は埼玉なんだし。あ、子どもが東京の大学に進学する可能性もあるし。そう考えると、横浜に 戻ることも十分にあり得るのよねぇ。何で私、こんな大事なことに気づかなかったんだろう……」

私の言葉に、真央子は泣き笑いのような顔をしていた。

「ふふふ、お姉ちゃんって昔から天然だったもんねぇー。じゃあ、私そろそろ行くね。浩二さんや、莉菜、航平にもよろしく言っといて。たまには東京にも遊びに来てよね!」

そう言うと、真央子は車から降りた。

私は小さくなっていく真央子の姿を見届け、車を発車しようとした。そのとき、駅に向かって歩いていた真央子が急に足を止め、何かを思い出したかのように、こちらに向かって走ってきた。

「えっ 何、忘れ物?」

私は窓を開けると、後部座席に荷物が落ちていないかを確認した。

「ごめん、言い忘れてた。さっきの車の件なんだけど、カーリースがいいと思うよ。将来のことを考えると。それに、お金の面でもね」

「カー……、リース?」

真央子からの思わぬ発言に、私はあっけにとられた。

「詳しいことは自分で調べてね。車種とかは自分で選べるからさ。じゃあね、バイバイ!」

満面の笑みで去っていく真央子を、ぼんやりと眺めていた。

「カーリースねぇ……」

私はスマホの検索画面に「カーリースとは」と、入力した。

その夜。リビングで車のパンフレットを眺めていた浩二に、私はワイングラスを差し出した。

「たまには一緒に飲まない?」

浩二は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに「いいね」と言ってワインオープナーを探し始めた。

久しぶりのワインは、思った以上に強かった。でもその分、今夜はアルコールの力を借りて、浩二と本音で話せそうな気がした。私は、きょう妹と会ったこと、実家の両親のこと、そしてカーリースについて夫に話した。それはつまり、私たち自身の将来の話だった。

「実は俺も、いずれは実家の近くに住みたいと思っていたんだ。でも学校のこともあるし、航平が高校生になるタイミングで結論を出したいと考えてた」

私は、このとき初めて夫の本心を知った。

夫「それにしてもカーリースか……。考えてもみなかったなぁ。でもいつか関東に戻るとなると、あっちは電車やバスの数も多いし、車は1人1台は必要ないよな」

妻「うん。手放す前提のセカンドカーなら、カーリースの方がいいんじゃないかって思い始めたの」

夫「ああ。それにいろいろと金もかかるだろうし、頭金がないのは助かるよな」

妻「そう考えると、カーリースっていうのも全然アリだね!」

浩二は頷いて、私のグラスにワインを注いでくれた。

それが、 自分たちにとって最良の選択だという合図を示すかのように。