Case.2

私と家族に、笑顔をくれました

美奈子43歳、地方在住の専業主婦。
人生を見つめ直した先にあった、カーリースという選択。

車は必要。
でも、買うのには勇気がいる。

月に1日だけ、私は学生時代の自分に戻る。

気の置けないママ友たちと愉しむ毎月恒例のランチ会では、妻でも母でもない“素の私”が顔を出す。

「私はAランチにしよう。みんなは?」

香織さんはメニューを一瞥すると、ササッと決めた。

「ああ、そうだよねぇ。Aもいいよね。でも、昨日の晩ごはんがお肉だったから、Bも捨てがたいんだよねぇ。でもAの方がボリュームあるしなぁ……」

香織さんとは対照的に、三穂ちゃんは自他ともに認める優柔不断だ。

「あぁ〜どうしよう。迷うわぁ。美奈ちゃんは決めた?」

「うん。たまにはスペシャルランチにしようかな」

「わ!豪華。じゃあ、私もスペ……、やっぱりAで」

三穂ちゃんがそう言うと、私たちはドッと笑った。

9年前。横浜から地方の町へ移住してきた私にとって、人間関係は一番の不安の種だった。最初は戸惑うことも多く、“よそ者意識”を感じることもあったけど、子どもの学校行事や町内会のイベントを通して、地元のママたちとの距離はぐっと縮まった。

その中でも、1つ年上で姉御肌な香織さん、陽気なムードメーカーの三穂ちゃん、そして最年少ながら真面目でしっかり者の麻美ちゃんとは、子どもの言葉で言うなら“いつメン”と呼べるくらい仲良くなった。

「来月は麻美ちゃんも揃うといいね」

食後のコーヒーを飲んでいると、ふと麻美ちゃんの姿がないことに気づき、少し寂しい気分になった。

「麻美ちゃんも残念がってたよ。『先月新車を買ったばかりで金欠だから、今回は泣く泣くパスしますー』って言ってた」

香織さんの言葉に、三穂ちゃんは大きく頷く。

「私も新しい車を買うとなったら、交際費を切り詰めないとなぁ。頭金もかかるし、維持費だってバカにならないわよねぇ」

「そうそう。それに、乗り換えのタイミングも考えないとね。今は子どもたちの送迎に使っているけど、下の子が高校生になったら家族で車に乗ることも減るだろうし。無理してローン組んでも、結局乗らなきゃ意味ないもんね」

「あぁ〜。車を買うのって難しい〜!」

三穂ちゃんは大げさにテーブルに突っ伏すと、突然何かを思い出したように顔を上げた。

「そういえばちょっと前に、美奈ちゃんの家も2台目のほうを新しくしたって言ってたよね?お金の面とか大丈夫だった?」

「あっ、そうよ。スペシャルランチなんか頼んでるし!」

2人は私の顔を食い入るように見つめてきた。